西尾孔志

20120710 『ゴンゾウ 伝説の刑事』

| トラックバック(0)
『ゴンゾウ 伝説の刑事』(2008年)

古沢良太脚本。

泥臭いので、古沢脚本でも軽妙な『リーガルハイ』とは反対に見えるが、同じ《無敗伝説の男》を主人公にした物語。だが今作は『かっての』が付く。
三年ぶりに現場復帰した『かっての伝説の刑事』は、捜査の為には冷酷無比な上司に反発する。しかし彼は元部下であり、かっての自分の姿だった...

元部下である刑事・佐久間(筒井道隆)は、エリートである自分を作り出したかっての伝説の刑事、そして今は腑抜けの男・黒木(内野聖陽)を無理やり現場に引き戻し、叩きのめしたいという暗い欲望を抱いていた。また、黒木は三年前のある事件で心を激しく病み、発作に恐れながら生きていた。

この二人の刑事の対決を軸に、定年を迎えつつある老刑事、自分を信用してくれていた男を裏切ってしまい、一生かけて償う覚悟の若い刑事、物語の核になる殺傷事件に巻き込まれた新人の女性刑事など、刑事たちの群像劇が暑い一夏の出来事として描かれる。

DVD特典でエヴァの話題が出てきたように、誰かと誰かが元恋人同士であったり、一方が一方を利用していた等、意外な登場人物たちのダークサイドが露呈し、話はより複雑化していく。

第一話を見た印象は「微妙」。だがそれは、第二話以降に後戻りできなくなる『日常のかけがえの無さ』に一話割いているからで、第二話以降、人々は聖と邪の間で大きく振り子のように揺れ続け、それでも他人を信じる事は出来るのか?やはり現実は酷なのか?と祈る気持ちにさせられる。

犯人のサイコ像はちょっとベタだと思うが、DVD特典の未公開映像を観ると、犯人が夜の街を一人歩き続けるカットの孤独感は、くるものがあった。

中盤以降はひたすら心を振るわせながら観た。
観終わった今も、頭の中で小谷美紗子の主題歌が再生され、場面を思い出してはため息が出る。

第27回向田邦子賞受賞。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.damdamtuushin.com/mt-tb.cgi/186