2012年4月アーカイブ

関西カルチャーサイト【QNICC】で『1万円の使い道』という関西のオルタナティブなイベントを紹介する連載を企画し,仲間を集めて始める事となった。

キッカケはいろいろだ。

例えばクラブ。
ここ2,3年は3ヶ月に1回くらいしか行かなくなったが、それでもクラブが次々に検挙され、いくつかが閉店してしまった事に、何か小さくても良いから働きかけをしたかった事もある。

例えば演劇。
東京から優れたカンパニーが続々来ているのに、まだ空席が残る京都の演劇事情にも、何か小さくても良いから働きかけをしたかった事もある。

例えば映画。
仲間内の上映は観に行くのに、外部の上映には興味も持たない映画学校の生徒たちを見て、何か小さくても良いから働きかけをしたかった事もある。


そう、何か小さくても良いから働きかけをしたかったのだ。
できれば、継続的に出来て、自分たちの懐具合でやれて、速効性は無いけど具体性はある事を。
ダイナミックな事は楽しいし、憧れるし、カッコいいけど、1回くらいで疲れちゃう。それにお金もかかるから儲からないとリスクが大きい。だから日常の隙間で出来る事をしよう、と。


『1万円の使い道』のリコメンダーをお願いしてる皆さんは、もちろんノーギャラで書いてもらってる。僕ももちノーギャラ。
載せてもらった【QNICC】も、厳しい経済状況下で「関西のサブカルチャー情報を発信するメディアが必要だから」と孤軍奮闘しているサイトで、同志だと思ってるし、このサイトを閉鎖させず、僕ら関西の文化に携わる者たちが大事に育てないと、と思ってこの企画を持って行ったら、無料掲載を快諾してくれた。


一緒に企画した竹内厚君は、元々Lマガジンの副編集長で、僕の高校の同級生だ。彼とは、演劇ライターの藤原ちからさんと一緒に飲んだ夜、「昔は文化人の中に『これが良いから見に行けよ』という人がいた。今は情報が氾濫して、宣伝なのか紹介なのかわからない」「レビューという記録も大事だが、紹介という働きかけも必要だ」などなど色々と思い至り、口コミ的ブログをやろうという話になった。

大事なのは、仕事やシガラミじゃなく、自分の内なる欲求として行きたいイベントを紹介すること。そこで「自腹で1万円使うとして」という括りで推薦する企画を思いついた。実際のところ、それぞれ仕事や事情で推薦した全てのイベントに行ける訳じゃないけども、心の中は「行きたかった!悔しー!」というモノを選ぶ事になっている。

ツイッターアカウントもフェイスブックのページも作った。まだまだリアクションは少ないが、それでも「こういうのを待ってた」という声も頂いた。

継続して行けば、関西でも満員で熱狂するクラブや、立ち見が出てる劇場や映画館の姿をいっぱい見る事が出来るかも知れない。若い人が家でネットの中だけで娯楽を享受するだけでなく、外へ出て行って他者と一緒に同じ空気(バイブス)を感じながら、映画や演劇や音楽を体感してくれるかもしれない。
そう願って始めます。


1万円の使い道 http://qnicc.jp/column/
Twitterアカウント https://twitter.com/#!/10000qnicc
Facebookグループページ http://www.facebook.com/groups/372384429478706/
震えた!

「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」はシリーズ1作目からコアなファンの間で注目されていた入江監督が、メジャーマイナー問わず「本物」と認知されるだろうマスターピース!

個人的に思い出したのが、コアで重たいアンダーグラウンドヒップホップが勢いを増して来た90年代後半、「文系HIPHOP」だと思われていたスチャダラパーが『fun-key LP』というドープでカッコ良いアルバムを出した事。あの「俺ら、ひょっとして舐められてる?」という真顔で突きつけてくる刃物のような、そんな鬼気迫るものを「ロードサイドの逃亡者」にも感じたのだ。

他のたとえだと(しかも30代しかわからん)、「幸福論」で注目されてた椎名林檎が「ここでキスして。」で本物と認知されたように、「陽はまた昇りそしてまた繰り返す」で注目されてたDragon Ashが「ディープインパクト」で本物と認知されたように、「ロードサイドの逃亡者」は本物なのだ。

『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は、過去のシリーズを観てない人がいきなり観て大丈夫。感動できる、有無を言わせぬ力強い青春映画だ。もちろんシリーズを追いかけて来た者には、まったく正々堂々と変化球無しで強烈なカタストロフを味わせてくれる。入江監督、凄いとこに来た。


とにかく「1」「2」でピンと来なかった人も是非見て欲しい。

長回しのカメラが、相米慎二的じゃなく、溝口健二的ですらあった。
正直ゆえにハメられ、堕ちて堕ちて堕ちて行く男女の道行きを、カメラは引き摺り倒すように追い続ける様は圧巻。そしてその先にある「無」の景色にひたすら戦慄するだろう!