西尾孔志

20111205 函館港イルミナシオン映画祭 森田芳光『僕達急行 A列車で行こう』、山下敦弘『マイ・バック・ページ』、ndjc2010 (藤村享平『逆転のシンデレラ』、松永 大司『おとこのこ』他)

| トラックバック(0)

12/02


朝、〆切のシナリオをメールで送って、関空へ。

京造大映画学科長の林海象さんと待ち合わせ、函館空港へ向かう。

初の北海道。約2時間と、韓国よりフライト時間が長い。

機内雑誌に飽き、窓側だったので地図を手に眼下の景色を見る。

「あの湖が十和田湖かぁ」とか退屈しない。

八甲田山はやっぱり白かった。

 

 

北海道に近づいた時、眼下の雲に飛行機の影が映り、それを囲むように虹のような光が丸く輝いていた。ブロッケン現象というのだそうだが、吉兆に思えて嬉しい。(そう言えば、関空行きの途中で急に思い立って年末ジャンボ宝くじを買った。それ、当てて下さい、虹の人。)

 

 

函館に着き、荷物を置きにホテルへ。なんとツインに一人で広々宿泊。幸先良い。

ところが合流予定の学生・坂井が電話しても繋がらない。大丈夫かと思っていたら、ようやく着信。「港に着きました...寒いです...

飛行機代が高いので、坂井は寝台列車と青函連絡船に乗って24時間くらいかけて来たのだ。

 

 

という事で会場の金森ホールで坂井と待ち合わせ。

赤レンガ倉庫を改造した雰囲気の良い会場で、オープニング上映の

森田芳光監督『僕達急行 列車で行こう』を観る。

松山ケンイチ・瑛太W主演の、[釣りバカ日誌]ならぬ[鉄道バカ日誌]。

鉄道オタクのサラリーマン(松山)と不景気に喘ぐ部品工場の二代目(瑛太)が巻き起こす、恋に仕事にてんやわんやの牧歌的ドタバタ喜劇。森田演出は学生映画一歩手前ギリギリのチープさを狙っていて(たぶん)、正直、かなり変な映画。普通、この手の変な映画は「ここ、笑っていいのかな?」という困惑が会場に起こるが、函館のお客さんは結構素直に笑っていた。

 

 

終映後に開会式と、シナリオ大賞の授賞式。海象さんはこれの審査員なのだ。ここのシナリオ大賞を初めて知ったのだが、映画化を目的としたシナリオに300万円の賞金が与えられ、過去に『パコダテ人』『オー・ド・ヴィ』『狼少女』『うた魂』『おと・な・り』等が制作・公開されているという有言実行ぶり。凄い。

今年は山崎佐保子さん『あんぽんたんとイカレポンチキ』園田新さん『リアルファミリー』がグランプリ。羨ましい。

 

 

その後のパーティー会場内で坂井と二人、翌日の京造大の上映チラシを配りまくる。終わって『g』というアットホームなお店で2次会。海象さんと、フジテレビゼネラルプロデューサーで映画プロデューサーの河井信哉さん、脚本家の加藤正人さんらと飲む。

加藤正人さんはピンク時代からのファンで、僕が「『シャボン玉伝説』が好きです」と伝えると、かなり驚いていた(笑)

河井さんは『私をスキーに連れてって』(好き)『彼女が水着に着替えたら』(大好き)というホイチョイ映画を始め、岩井俊二監督『Love Letter』『スワロウテイル』、エドワードヤン監督『ヤンヤン 夏の思い出』、園子温監督『愛のむきだし』等を手がける敏腕プロデューサー。凄くビジネスライクな人かと思ってたら、全然そんな事なく、むしろ温かく映画熱のある方。

この日、ホテルの部屋に帰ったのは朝3時くらい。

 

 

 

12/03

 

ホテルの朝食が豪華なビュッフェで驚く。イカ、イクラ、サケなど魚介類が豊富な上にじゃがバタ、ステーキ丼まである。もちろん旨い。もう腹一杯食べた。幸せだ。

 

 

12時からはじまる京都造形芸術大学の上映会場に向かう。坂井のチラシ効果もあって、業界関係者も多く来て下さり、早い時間なのに会場はいい感じの客入り。とりあえずホッと安心。河井プロデューサーも、シナリオ大賞の皆さんもお越し下さった。感謝感激。

 

 

上映後のトークでは、坂井の「役者に好きにやらしちゃ駄目でしょ」という大物発言と、海象さんの「性なんてどーでもいいじゃん」発言(そして直後の、何故ベッドシーンが嫌いかの理由)で爆笑が起こって、まぁ成功だったと思う(笑)

 

 

その後、海象さんと二人で、海象さんお勧めの老舗の塩ラーメンを食べに行く。あっさり旨い。まるで大阪の美味しいうどん屋の出汁みたい。勢いがつき、ビールとチャーハンを頼み、気がつけばそれぞれ1瓶空けてた。昼酒最高!

 

 

そして上機嫌で金森ホールへ。

山下敦弘監督『マイ・バック・ページ』

山下監督が円熟した演出に挑み、一皮剥けた印象。役者の芝居を抑え気味に丁寧に撮り、登場人物に重みがある。ニューシネマっぽい。しかしその長所が、後半に行くほどやや冗長になってしまうという短所に変わってる、と思った。そのせいでサスペンス的なワクワク感も薄れ、個人的には成功作とは言い難い。だが、同世代でこういう挑戦は尊敬に値する。山下監督はこれを過渡期として、またステージを上げるのではないか? 素直にそう感心した。

 

 

雨と風でロープウェイが運行中止となり、パーティー会場だった山頂のホールは急遽、別の会場へ変更。雪の函館を見たかったが、雨と横風の函館とは...

昼酒で睡魔に襲われた海象さんはホテルに戻り、僕と坂井でパーティー会場へ。坂井が河井プロデューサーに感想を聞き、それをキッカケに話し込む。シナリオ大賞の山崎さんも輪の中に入って来て、気がつけばお開きの時間。河井さんの話は面白い。坂井は頑張って函館まで来て良かったな。身のある時間だった。

 

 

で、また2次会は『g』。篠原哲雄監督に「『YOUNG & FINE』が一番好きです」と伝えると驚かれた(笑)このパターン、2度目。

大森一樹監督が誰かに大声で絡まれてたり、エロ短歌の本を出してる女優のお姉様に口説かれかけたり(と勝手な思い込みw)、夜中に目覚めた海象さんがやって来たり、大騒ぎの楽しい夜。『g』は鈴木清順の著書が並んでいたり、トム・ウェイツがBGMでかかっていたりする居心地良い店で、気がつけば朝5時前。同じホテルに泊まるシナリオ大賞受賞の山崎さんが熱い人で、部屋に入るまでロビーで色々話し込む。月刊「シナリオ」に受賞作が掲載されるらしく、これは読もうと思う。

 

 

 

12/04

 

文化庁の映像支援機構VIPOが主催する「若手映像作家育成プロジェクト(ndjc)」の2011年度のプログラムを観る為に早起きして、豪華な朝食は諦めて(ギリギリまで寝てた)、十字街シアターへ。

会場には坂井はもちろん、シナリオ大賞の皆さん、それに朝食のパンを片手に河井プロデューサーも来場。この人のフットワーク、凄いな。

 

 

このプログラムが、僕がこの映画祭で観た中で一番面白かった。

 

『曇天クラッシュ』監督:高橋康進

『逆転のシンデレラ』監督:藤村享平

『おとこのこ』監督:松永大司

RAFT監督:三宅伸行

『動物の狩り方』監督:森英人

 

 

全て短編だが、シナリオも良いし、撮影も役者もレベルが凄く高い。

06年~08年まではndjcを観ていたが「自主映画の監督が予算を貰えて撮った短編作品」という感じで、それはそれでもちろん良い作品もあったし、好きなのだが、今はもう商業作品、または世界で勝負出来る作家作品を目指して、まっすぐ向いている感じ。レベルが半端無く高い。

 

 

特に『逆転のシンデレラ』のブラックだけどバランスの取れたイケイケの脚本と小気味良くドライブして行く演出には舌を巻いたし、『おとこのこ』『動物の狩り方』のそれぞれ少年・少女の世界と向き合う瞬間に向ける残酷だが血の通った作者の視点には感銘を受けた。

VIPOは映像作家を育てる事に本気になってて本当に頭が下がる。マジで早起きして良かった。京造大の図書館にはndjcDVDを置いて欲しい。(あるのかな?)

 

 

山崎さんらと再会の約束をし、バタバタと函館空港に向かう。

空港では大阪で待つ同居人にバターサンドやROYCEのチョコポテチを購入。急いで飛行機の中へ。機内でようやっと海象さんと再会し、離陸。

旅行に行くとハシャぐ僕だが、この2泊の睡眠時間は足しても5時間にならないだろう。

ホウ・シャオシェンの大好きな映画『南国、再見南国(邦題:憂鬱な楽園)』をもじって、『北国、再見北国』と小さく呟き、睡魔に誘われるまま眠りに落ちた。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.damdamtuushin.com/mt-tb.cgi/138