2010年5月アーカイブ

備忘録として5月に観た映画の感想メモ。

 

5月1日息もできない』(ヤン・イクチュン)

前評判ほどは驚きはなかった。川島透監督の『竜二』みたいな映画だと思った。もしくは長渕剛のドラマ『とんぼ』みたいだったというと、悪く言ってると思われるかもしれないが、面白く観た。新しい刺激は無かったが、キャラクターだけで十分に面白く観れる映画だった。


5月2日『山椒太夫』(溝口健二)

二日酔いが覚めた。なんと凄まじい人間模様か!じわじわとやって来るカタルシスに涙ぐむ。10代に観た時には解らなかった、厨子王の孤独の深さ、それを捉えるカメラのあまりに見事さ。ため息が出る。ラストシークエンスでの田中絹代の素晴らしい手の芝居。決して叙情過多に陥らず、じわじわと見る側に染み込み、揺さぶる、溝口健二の演出と宮川一夫のキャメラワーク。あぁ素晴らしい物を観た。歴史的傑作とはこういう物なのだ。


5月3日『QULOCO』(柴田有麿)

僕のゼミ生の作品。20才の学生たちが作った30分の短編。モノクロの撮影によるファンタジックでユーモラスな青春映画。漫才と恋を上手く描いていて、好感が持てる。


5月3日『天球のおんがく』(吐山由美)

僕のゼミ生の作品。20才の学生たちが作った30分の短編。説明を少なくし、じっくり粘って長回しで見せる。「初監督作品にしては」という枕詞が必要ないほど、緊張感が漲っている。


5月3日『フォロー・ミー』(キャロル・リード)

わたなべりんたろうさんに以前から勧められていたのをCSで見つけて観る。ミア・ファローが本当に可愛らしい。ミア・ファローが街を歩き回る姿だけでもずっと観ていたくなるほど良い。そこにしっとりした女性ボーカルの音楽が流れると胸がいっぱいになる。ホラーが好きとか、変な踊りとか、天然な性格とか、自分もミア・ファローを尾行したくなる。探偵のキャラクターも含め、愛らしい可愛らしい作品だった。


5月18日『汚れた女(マリア)』(瀬々敬久)

当時観て凄く興奮した映画。今回は当時見た時ほど興奮はしなかったが、やはりクライマックスは『雷魚』と並ぶ瀬々&井土コンビの一つの極み。風景が全てを物語る。圧巻。


5月20日『文雀(邦題:スリ)』(ジョニー・トー)

自転車4人乗りする男たちの鈍臭くても愛らしい天真爛漫さ、傘と傘の対決シーンにおけるミュージカルのようなカッコ良さ(加藤泰『真田風雲録』みたいなスタイリッシュ!)、サイモンヤムのキザったらしい演技。素敵な小品。大好き。


5月22日『ショートショートムービーフェスティバル』

劇団ヨーロッパ企画主催の短編映画イベント。「演劇人が作った短編映画が面白いの?」と思う方もいるだろうが、既に6回目の今年は、映像や編集のクオリティも高く、しかも独創的で面白い物が多数あった。来年は出そう!


5月25日『子猫をお願い』(チョン・ジェウン

再見。等身大の若い女性達の青春映画。所々に忘れがたい瑞々しい瞬間がある。メールを画面中にそのまま文字として出すのが良い。この感じ、日本の村松監督『シンク』を思い出した。


5月27日『ホテル・ニューハンプシャー』トニー・リチャードソン

もう何度も繰り返し観ている。今改めて観ても感動的な作品。シリアスなシーンの直後にコミカルな早回しシーンの挿入など、好みは別れるだろうが、愛しいと思う。ヘンテコなエピソードが続き、「人生はおとぎ話よ」で幕を閉じる、家族の年代記。いつか自分の家族の話をアーヴィングのように書きたい。


以上。

先日の関西インディーズ監督会議、
アーカイブとして残してます。
見逃した方はこちらからどうぞ!

『関西ゼロ年代映画祭-関西インディーズ監督協同企画-ust生会議』
※最初の10数分は音声が少し悪いですがご了承下さい。

西尾孔志(CO2運営、映画「ナショナルアンセム」監督)

板倉善之(関西ゼロ年代映画祭主催、「にくめ、ハレルヤ!」監督)
柴田剛(「おそいひと」監督)
小谷忠典(「LINE」監督) 
木村文洋(「へばの」監督)
三宅唱(CO2「やくたたず(原題「最初の商売」)」監督) 
田中羊一(CO2「CJシンプソンはきっとうまくやる」監督)
天野千尋(CO2「さよならマフラー」監督)
高橋明大(CO2「はじめての世界学」監督)
水藤友基(CO2監督)
小出豊(CO2「葉子の結婚 月曜日」監督)
今泉力哉(「最低」監督)
山下幸洋(DAIGEI FILM AWARD宣伝)

14日

 大阪を出て、横浜は「YRP野比」という近未来な名前の駅で降りる。「ヒューマンコンピュータインタラクション」という初めて耳にする研究の発表会の席で、なんと講演(!)をした。

生まれて初めての講演で、しかも大学の研究者の集いである。会場に着いて、数十人の理系の方達が座っているのを見て、引き受けた自分を呪いたくなったが、

「相手はめちゃめちゃ賢い人たちだが、まぁ餅は餅屋。映画を知らない学生に話す気でやれば」と、いつも大学の講義でやってるような話を映像を交えて1時間15分、なんとか話し切った。面白がって貰えたのか質問もチラホラ出て、少し時間をオーバーして終了。良かった。

終わってから、研究者の一人である京都工芸大の先生と飲む。同じ京都の大学同士、今度も交流しましょう(酒的な意味で)と解散。

で、毎度ネットカフェにて爆睡。講演してもネットカフェ・・・別に好きじゃないけどね全然!


15日

 新橋のセミコという会社が持つUSTREAMを使ったネット放送スタジオにて、CO2や関西ゆかりのインディーズ監督が12人集まり、さらに宣伝の方も参加しての大座談会を3時間、生放送した。

参加者は

西尾孔志(CO2運営、映画「ナショナルアンセム」監督)

板倉善之(関西ゼロ年代映画祭主催、「にくめ、ハレルヤ!」監督)
柴田剛(「おそいひと」監督)
小谷忠典(「LINE」監督) 
木村文洋(「へばの」監督)
三宅唱(CO2「やくたたず(原題「最初の商売」)」監督) 
田中羊一(CO2「CJシンプソンはきっとうまくやる」監督)
天野千尋(CO2「さよならマフラー」監督)
高橋明大(CO2「はじめての世界学」監督)
水藤友基(CO2監督)
小出豊(CO2「葉子の結婚 月曜日」監督)
今泉力哉(「最低」監督)
山下幸洋(DAIGEI FILM AWARD宣伝)

記事:映画サイト『ホウガホリック』http://bit.ly/aEg9MQ

ちょうどこの5月後半から6月に掛けて上映ラッシュがあり、宣伝を協力しあおうという訳だ。司会は僕だが、知ってる顔ばかりでこの大人数ならけっこう楽かと思ったがウソ!大ウソ!

ネットとはいえ初の生放送。皆、けっこう口が重い。しかもそれぞれの制作姿勢のシリアスな根っこの話が続き、一度発した言葉は自分の今後の創作に関わってくるから、何か重いムードになってしまった。まぁだからと言って、無闇にエンタメに持って行くのも違うし、あのトーンがリアルで良かったと思っている。だって大成功してる訳でもない若い監督達がハシャいでいても、そんなのムカつくだけだし、何より、迷ったり間違ったり悩んだり、その真摯な姿を見せる事が大事なんだと思っていたから。そして、あの場所で逡巡の果てにぽつりぽつりと言葉を発する事で、覚悟が出来たと思う。次は行動で分からせる。それだけだ。


放送の結果、どちらかといえばマイナーな監督たちの、地味で真面目なトーク番組にも関わらず、トータル視聴者数が1300人を越えていた。どっかの会場でやっても100人も入らないトークショーにUSTなら1300人(実際にちゃんとご覧頂いたのはこの半数か1/3以下だろうが、それでも)。これはお金をあまり掛けられないインディーズ映画にとって、新しい宣伝ツールじゃないかな(もちろんいつかは飽きられるだろうが)。とりあえずプチ成功だったと思う。そして何より、やってる方は滅法面白かった。

 

そして会場を出て、新宿で打ち上げ。参加者の多くが「もっとこんな話をすれば良かった」などと反省の嵐。朝6時、クドナルドの割引券を食べながら誰かに向かって敬礼している木村文洋監督を見送り(見放し)、高橋明大と板倉善之と握手を交わし、この日はさすがにカプセルホテルに泊まって爆睡した。


16日

 結局疲れて夕方まで眠る。渋谷に石井裕也監督『川の底からこんにちは』を観に行くが、見れずに終わる・・・残念。

結局、バスの時間までカフェで原稿を書き、そのまま大阪に帰った。今回も濃い東京デイズだったが、次は6月12日から1週間のCO2inTOKYO@池袋シネマロサだ。

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先日の京都造形芸術大学 映画学科西尾ゼミ の上映会のレポートです!
http://www.damdamtuushin.com/wktk/2010/05/post-3.html

『僕らの映画を取り戻す』
インディーズ監督シンポジウムonUST生放送

5、6月に東京各地の映画館で、関西に深い縁を持つ傑作インディーズ映画が一挙に上映される。
それは偶然? いや引き寄せらる運命に違いない!
土曜の夜、監督たちが集まり、一夜限りの宴をネットで生放送。
事件勃発。言うこと聞くよな奴らじゃないぜ。

放送日 5/15sat 20:00〜23:00(生放送)
放送するUSTのアドレスは当日ツイッターで発表http://twitter.com/nishiohiroshi

参加監督:
西尾孔志(CO2運営、映画監督)
板倉善之(関西ゼロ年代映画祭、「にくめ、ハレルヤ!」監督)
小谷忠典(「LINE」監督) 
木村文洋(「へばの」監督)
三宅唱(CO2「やくたたず」監督) 
田中羊一(CO2「CJシンプソンはきっとうまくやる」監督)
天野千尋(CO2「さよならマフラー」監督)
高橋明大(CO2「はじめての世界学」監督)
水藤友基(CO2監督)
今泉力哉(「最低」監督)ほか