2010年4月アーカイブ

備忘録として4月に観た映画を。

 

4月3日姉ちゃん、ホトホトさまの蠢を使う』(大工原正樹)

「妄想し過ぎると、妄想が実体化して人を襲う」のは前作「赤猫」と同じく、好みのストーリー。エロくて淡々としてて好きだ。14年前、長曽我部さんに片思いした記憶を思い出す() 物語がどこへ転がるか分からない感じは、やりたい事として共感。トラウマの流行の描き方にしないのも好きだ。

 

4月3日『赤猫』(大工原正樹)

久しぶりに観た。凄~く好みの作品で、気が狂ってしまった人の意味不明な語りを聞かされているような、本人しか辻褄があってない話を聞かされているような、そんな醒めた恐怖を描いた作品。経験ないだろうか? 人に「聞いて欲しい」と語りかけられ、軽い気持ちで「何?」と聞き始めたら、「・・・何言ってるか意味わかんない。この人ヤバいわ」って時。だけど刺激したらもっとヤバい、って時!。しかもそれが自分の妻だったら...そんな醒めた怖さを描いた傑作。

 

4月4日『シャーロックホームズ』(ガイ・リッチー)

見終わって思った。百ガイあって、1リッチーも無い映画だったぜ!と。

とにかく出鱈目さが足りない。全て科学で説明しちゃうような映画。

秘密結社を扱ってんのにオカルトを絡めるとか、もっと遊べるだろうが!

描写もケレン味無さ過ぎ。ただRダウニーJrは好きだ。

 

4月11日SPACY』『THE MOON』『ZONE』『 ギ装置M』(伊藤高志)

京造大の学生イベント【WKTK vol.3】。詳細はここに書いた。

http://www.damdamtuushin.com/wktk/2010/04/3wktk.html

 

4月14日『シャッターアイランド』(スコセッシ)

好きじゃない。描写にしろ、驚きが一瞬も無かった。同じネタならロン・ハワード監督「ビューティフルマインド」の方がまんまと騙されたし、その後の物語のもっていき方もユニーク。うーん、意図がわからない。でも1年経って見直したら面白くなるかも知れない・・・

 

4月14日『最低』(今泉力哉)

コメント寄せました。→http://www.uplink.co.jp/factory/log/003538.php

 

交通事故の怖さを教える「教則ビデオ」というのがあるが、

今泉力哉の映画『最低』はまさに、≪恋愛事故≫の怖さを教える「教則ビデオ」だ。

あー怖い、あー怖い。自分はあんな目に遭わなくて良かった。もう危険な運転はすまい。

老若男女、恋愛に慣れてると思ってる人もこれから恋愛する初心者も、観る事を義務づける!

 

 

4月16日『第9地区』(ニール・ブロムカンプ)

高校生の時に読んだアーサーCクラークなどのハヤカワSF文庫の世界が実写になった感じ。物が浮く描写や、ロボの描写など、いちいちグッと来る。難民街の描写もアイデアが良い。悪役など程よい劇画調が入っており、好みだ。この路線を激しくすると石井聰互やアレックス・コックスみたいになるのだが、(そしてそれはそれで大好きだが)そこまでやらない辺りが大衆性を獲得出来てるところであり、個人的に熱狂とまではいかないところでもある。  

 

4月17日『ジェイコブスラダー』(エイドリアン・ライン)

やっぱ怖いし、何にも似てない不思議な映画。『ふくろうの河』が元ネタだが、光と影を繊細に捕らえたカメラが描写する街並みが実存として残り、「あったかも知れない幾つかの人生」がパラレル・ワールドになっているように見える。シャマランなら物語的整合性をつけるところを、何が本当にあった事かわからない描き方で終わらせる(一応の決着はあるが)。日常の些細な違和感をよく描いている。凄く好き。

 

4月21日『ザ・デッド 「ダブリン市民」より』(ジョン・ヒューストン)

ジェイムス・ジョイスの小説「ダブリナーズ」を映画化したジョン・ヒューストンの遺作。廊下から室内へ入る時のスーッといく感じや、招待客の手でリレーされる料理皿をゆったりと追う、キャメラの優雅さにため息。人々は踊り、老女主人は歌い、紳士が朗読する詩に婦人方は肌を上気さす。アイルランドでのクリスマスの一夜を優雅に描く様は、今ではオリヴェイラくらいにしか許されない贅沢ではないか。過去に想いを馳せる老いた人々の表情に、キャメラは静かに近づいていく。そして死は雪が降るようにやってくる。

 

4月21日『暗戦 デッドエンド』(ジョニー・トー)

再見。敵と味方の友情をハードボイルドで(過剰に!)描く様はやっぱカッコいい。いつも思うが、冷静に考えるとプロットとして破綻しまくってんじゃねぇか?と思うのだが、それがジョニー・トーの面白さなのだ。

 

4月29日『これで、いーのかしら。(井の頭) 怒る西行』(沖島勲)

仙人の映画。仙人が出てる映画。沖島仙人と散歩する体感映画。この世の物ではない。なんだこれ!すごい。

 

4月30日『夕暮れ』(戸田彬弘

今から見に行きますw

 

西尾ゼミ上映会.jpeg

自分のゼミ生の作品上映会を行ないます。

去年初めて大学で講師をして、
映画を初めて撮る20才の学生達と2本の作品を作り上げました。

どちらも素敵な出来栄えとなっています。

そしてゲストに「曲がれスプーン」や「サマータイムマシンブルース」の劇団ヨーロッパ企画から中川晴樹さん!!
「シネドライブ」から唐津正樹さん!!
「桃まつり」から監督の安川有果さん!!
がお越しになります!!!


是非、彼らの瑞々しい初体験=シネマを目撃して下さい。



~京都造形芸術大学映画学科 西尾ゼミ作品上映会~

■□■□■□■□■□■□■□
白と黒のかいじゅうたち
■□■□■□■□■□■□■□ 

白い声の悪魔はうたった
黒い顔の天使はわらった
白と黒、2つの色、少年と少女・・・放課後の不思議な2つの物語


2010年5月8日(土)
 4回上映:13時/15時/17時/19時


トークゲスト:
15時の回 唐津正樹(映画監督、シネ・ドライヴ2010実行委員)
17時の回 安川有果(桃まつり「カノジは大丈夫」監督)
19時の回 中川晴樹(ヨーロッパ企画)

@京都三条 アートコンプレックス1928 

当日:一般700/学生500円 

前売・予約:全て500円

上映する作品の詳細や、予約方法はこちらのページをご覧下さい
   ↓
http://www.damdamtuushin.com/wktk/
第1回WKTKで上映した、
小谷忠典監督の最新ドキュメンタリー『LINE』がついに劇場公開!


LINE_02.jpg



快挙を祝して、僕もコメントを寄せました。


おとぎ話の王子ように、失った一族の再生のため、小谷忠典は異国に旅に出る。待ち受ける傷だらけの姫君たち(彼女たちが持つ内面の美しさはどうだろう!)。きっと旅の終わりには、王子は一人前の大人として一族に迎え入れられるだろう。

だが果たして、そんなおとぎ話のような事が現在に起こりうるだろうか? 

これは、男たちが成熟を拒む日本社会の中で、一人の青年がカメラアイだけを武器に、母性と対峙しながら自身の成熟をどう受け入れるのかを綴った貴重でスリリングな「物語映画」である。

  西尾孔志:映画監督/CO2ディレクター


5月22日(土)―ポレポレ東中野においてレイトショー公開 

 映画『LINE』HP http://line.2u2n.jp/index.html 
 映画『LINE』コミュニティ http://mixi.jp/view_community.pl?id=4626887 


予告編

http://line.2u2n.jp/preview.html


WKTKでの作品紹介記事


本当に今、旬のうちに観るべき映画です!
「小谷忠典作品」と構えて観る時代が来る前に是非!

昨日、4月11日に京都三条アートコンプレックス1928で、

wktk vol.3 伊藤高志=宇宙人説を催した。

100411_1351~01.jpg

100411_1351~02.jpg

100411_1352~01.jpg

自分たちで言うのもなんだが、そこは立派に宇宙だった。

 

100411_1354~03.jpg

100411_1355~01.jpg

100411_1651~01.jpg

 

正面のスクリーンと椅子、

天井のスクリーンと寝転がれる50枚の座布団を敷いた平台、

そして会場の真ん中に2本の白い柱を建て、そこにも映像を流した。

プロジェクターは4台、ボリュームは会場の限界値。

スピーディーでクレイジーな伊藤高志監督の実験映画4本・計40分が、

ずっとループで流れ続ける。

ああああああああああああああああ。

もう圧倒的である。

 

100411_1353~01.jpg

100411_1353~02.jpg

100411_1354~02.jpg

スクリーン人間だっているぞw

チラシのモデルをした学生の河津君は白塗りでずっと会場で立っていた(たまに座って観てたw)

100411_1355~03.jpg

会場内にはカフェバーカウンターだってある。

(当初はここにも映像が映される予定だった。機材の都合でここは諦めた)

 

実験映画という、どちらかと言えばマイナーな上映会に、

なんと1日150人近いお客さんが詰め掛けた!!!

常に会場内には30人近いお客さんが椅子に座ったり、座布団に座ったり、寝転がったり、

思い思いに伊藤高志ワールドを文字通り≪体感≫していた。

100411_1356~01.jpg

100411_1650~01.jpg

100411_1650~04.jpg

100411_1651~02.jpg

100411_1652~01.jpg

100411_1652~02.jpg 

 僕も試しに寝転がって天井スクリーンで「SPACY」を観たが、

後半のクライマックスでは心臓がバックンバックンして、体中に力が入りっぱなしだった。

また、現代美術作家の森村泰昌氏が出演する「ギ装置M」は、ノイズミュージック爆音状態の上映作品中で唯一のサイレント作品であり、その無音の6分間が本当に美しい時間だった。

トークゲストとしてお越しいただいた伊藤監督も、この上映会場をいたく気に入って下さったようで、

終始嬉しそうに居て下さった。

 ちなみに伊藤高志氏の映像はこんな感じ→ http://bit.ly/5yOo4n

 

ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。

関係者の皆様、どうもお疲れ様でした。

 

次回はまたクダラナイ事がしたくなったw

しばらくブログを更新してなかった。

ツイッターのせいだw

という事で、備忘録として3月に観た映画を。

 

3月8日『ミレニアムマンボ』(ホウ・シャオシェン)

観直す。エドワード・ヤンが20世紀映画作家の最高峰だとしたら、ホウ・シャオシェンは明らかに21世紀の作家だ。ってそんな事もう誰かが言ってるだろうけどw でもホウよりヤンだと信じる人はもう保守派だと思う。保守が悪いとかじゃないけど。あと、クラバーには泣ける。クラブをちゃんとかっこ良く撮れてる珍しい映画。

 

3月10日「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(ジョニー・トー)

トー監督のスタイリッシュな男の美学に、ファンには嬉しい「やり過ぎ描写」も盛りだくさんで(笑)満足の1本!面白かった!そうか、ここまで過剰に物語って信じて良いんだね!あと悪役にも仁義があるのがいいなぁ。ブーメランのシーン、本当に良かった。 そして生トー監督が記者会見に登場。会見中、CO2前野監督を指差して「将来有望」とのたまった!びっくり!(トー監督はゆうばりで前野監督「脚の生えたおたまじゃくし」を審査員特別賞に選んだのだ)

 

3月11日「女は男の未来だ」(ホン・サンス)

カメラレンズの使い方に違いはあるが、初期のアルトマンのような印象。地味だが嫌いじゃない。終わり方のあっけ無さなんて、むしろ好み。性に対して子供な男達の姿を日常スケッチ風で滑稽に描いている。あとカット割のためらい無さがいい。

 

3月13日「スーパーGUNレディ ワニ分署」(曽根中生)

ホームドラマにいきなり車が突っ込むオープニングの掴みバッチリ具合が素晴らしい。交通事故やビル転落のシーンなどロングショットでアクションを描く事が多く、モダンだと思う。

 

3月13日「穴の牙」(鈴木清順)

アイデアてんこ盛り(逆回転、エア・セックス、黒子など)の刑事ドラマのような怪談話。オチも見事。

とにかく傑作。

 

3月17日「ハートロッカー」(キャサリン・ビグロー)

静かな興奮。砂漠でのライフル戦の緊張感にSフラー「折れた銃剣」を思い出す。台詞があったので黒人兵士が防爆服を着るフラー的(というかお約束)エピソードがあると思ったが、無かった。軍医のエピソードはセオリーを踏襲してるのに意外。イーストウッドならやるのにね。ラストはもっと狂気に振っても良かったのでは?とも思う。

 

3月19日「インビクタス」(イーストウッド)

感動した。個人的にはアカデミー賞これだろ。ベタと言えばベタだがそれをさらっとやる脚本のお約束の数々。そしてそれが全てツボに入った。この正面から来る感じ。大統領の日常の淡々とした描写なんて、いわばジョン・フォードか小津のような透明感だ。そして後半に持ってきた刑務所のエピソード。メッセージの強さと、それをスポーツ映画に盛り込む巧みさ。ラストのベタなスローモーションはヒューストンの娯楽作「栄光への脱出」みたく王道の極み。なんだこれ!正しいプロパガンダ映画。いい大人が「明日から世の中をよくする為に生きよう」とやたら胸が熱くなったもの(笑)て、俺が単純なのか?(笑)

 

3月22日「アバター」(キャメロン)

やんややんや面白かった。子供から大人まで楽しめるよく出来たSFだと思った。太古の自然や宗教、侵略戦争などベタ要素の中、ネットの発達が国家間の戦争(つまり境界)を無意味にしていくという事象(と読んだ)は興味深かった。地球側はネットを情報としか使えてなく、原住民側の方が高度なネット・コミュニケーション社会なんだよね。まぁだからこそ、「さぁ各部族の元へ飛んでくれ」という台詞にガクッとなったが。盛り上がるシーンなので、いっか(笑) あと、僕が子供の頃は「人々を統治するマザーコンピューター(今回だと記憶の木)」は主人公の敵になるか、人類の危機となるやっかいなバグを生むパターンがほとんどだったが、アバターは自然宗教とうまく合わせて、サーバーは守られた(笑) もう敵じゃないんだね、マザーコンピューター。

 

3月24日「渇き」(パク・チャヌク)

数日の頭痛の原因となった奇っ怪な映画。ほんと変な映画だった。だが惜しいのはやたら冗長なのと、鈴木清順やW・ピーター・ブラッディ程は変ではない点だ。だが、こんなふざけたドラキュラ映画が撮れる韓国が羨ましい。あと、この監督はセックスシーンが毎度尋常じゃなくエロいが、過去最高にエロかった。

 

3月29日「賽ヲナゲロ」(天野千尋)

ENBUゼミ上映会にて天野監督の新作。良かった。女の子がだんだん可愛く見えてくる映画は最強よな!女優さん、良かった。それにしても若い女性監督が女性の性に関するコンプレックスを描く作品が増えてきたのかな?童貞映画ブームに対する女性側の逆襲?