西尾孔志

20100116wktkな夜

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京都三条河原町にある《アートコンプレックス1928》は古いビルを使ったアート空間。そこで月曜から《ムービーラバーズ》というイベントが行なわれている。オシャレな場所で、暑苦しい自主映画や過激なピンク映画を観ようという、奇特なイベントだ。

HPはこれhttp://www.artcomplex.net/ml/

で、プログラムのうちの3枠を我らが《wktk=ワクテカ》のデビューとして使わせて貰った。オシャレな場所に似合わないチラシを作ってしまい、怒られるのではないかと思ったがウエルカム・ムードだった。

wktk_omote2.jpg 

 

1回目が13日(水)。

小谷忠典監督を招いて『LINE』の上映とトーク。客数は20名弱だったが、静かな熱気を帯びた会となった。

映画「LINE」は、監督が憎んでいたという「父」と「沖縄」に向き合ったセルフ・ドキュメンタリー。人の顔に向けられたカメラの異常な近さに、観てるこちらまで居心地の悪さを覚えさせられる。

「撮る側(自分)を安全地帯に置かない」という小谷監督の強い意志が、相手の顔を、間近で、1分近く、無言のまま撮影するという撮影スタイルに表れていて、それはスクリーンを見つめる観客までも安全地帯に置いてくれない。「アバター」の3Dとは違う《そこに居るような体験》ができる。

上映後トークには監督と僕の他に、wktk代表の工藤君(京造大2年)を参加させた。

ドキュメンタリー監督志望だという工藤君は「日常風景の積み重ねを撮るだけなのに緊張感が生まれて...」なんて映画のトリックに引っかかってくれて、すかさず「甘いなぁ」と僕と監督(笑) ドキュメンタリー映画である「LINE」のほとんどのシーンには、劇映画の演出がほどこされている。「よーいスタート」というキッカケがあるのだ。それはジャ・ジャンクーの「公共所(イン・パブリック)」やペドロ・コスタの作品と近い印象を残す。これ、傑作です!なぜこの作品が山形で選外になって上映されなかったのか不思議で仕方がない。東京でいよいよ夏に劇場公開されるらしいので、是非その目で確かめて欲しい。

それと、近々、トーク内容をここにUPします。お楽しみに。

 

で、その後の打上げが凄かった!

映画学校卒の30代の女性が、酔って自分のコンプレックスを赤裸々に語りだしたのだ。そのコンプレックスとは「肥満」と「恋人が出来ない」、さらには「セックスの体験の少なさ」。そしてそれをセルフドキュメンタリーとして撮り始めたという。しかも友人に頼んでホテルへ行き、全裸の自分自身を撮って貰ったのだという。

そこから話は大いに発展し(なんせ映画監督が何人もいるから悪乗りを始める)、彼女はその場で一番若い男子と、二人でホテルに行った。残ったメンバーで飲みながら「凄い事になった」と興奮して話していたら、結局、ホテルの前で彼女は二の足を踏んでしまい、居酒屋に戻ってきた。そして自分でカメラを回しながら大いに泣いた。学生達はビックリしていたが、映画監督はそこまで"したたか"じゃないと。凄く貴重な体験ができた、いい夜だった。

 

2回目は15日(金)。いまおかしんじ監督を招いてピンク映画「イボイボ」と、映画監督でミュージシャンの松野泉くんを招いてのアコースティック・ライブ。客席は7割の入り。

上映前の挨拶を兼ねた短いトークでは、ピンク映画を観たいとこの企画を立てたwktkメンバーの坂井さん(京造大1年)が天然女っぷりを発揮。「私って変ですか」などの質問で、観客といまおか監督を困惑と苦笑の渦に陥れた(笑)

そして「イボイボ」上映。監督第2作目として15年前に撮られたピンク映画である。いまおか監督といえば脱力系というイメージだが、才能のある監督のデビュー作によくみられる、野蛮で激しい狂気が「イボイボ」には宿っている。

イボイボ.jpg

僕は3回目の鑑賞なのに、やはり最後は目の前が浮かんだ涙で滲んでしまった。新宿のコインロッカーの前で美しく眠る男女の姿・・・なんてロマンチックで哀しいんだ!DVD化希望します。

 

上映後、松野泉のライブ。松野君の優しいギターと素敵な声が会場に響く。

一曲目の女子高生は「イボイボ」の後に聞くと、また違った風景が見えてきた。≪松野泉「女子高生」http://www.youtube.com/watch?v=DCJRStNqjwY≫ 4曲のミニ・ライブだが、僕は口元を力いっぱい押さえながら聞いていた。ライブ後にトーク司会をする為、おいおい泣く訳にはいかなかったのだ。でもやっぱり「イボイボ」のエンディングテーマではまた涙が滲んでしまった。

ライブ後はいまおか監督へ、観客からの質問会とした。こういう時は、質問する人が少ないと困るのだが、熱心な女子大生が何度も質問してくれた。

そしてその夜も朝までの打上げとなり、最後は京都木屋町の有名なバー「ジャズ・イン・ろくでなし」でお開きとなった。

 

このイベント、学生達は始めて良かったんじゃないか。
彼らはこの2晩で急激に成長したとように見える。いままで大学内のイベントしか参加した事の無かった彼らには、カメラを回しながら大泣きする女性や、「ろくでなし」のマスターのような人物に初めて出あって、顔つきがタフになった。

大学の外へ出よう。他者に出会うとは、そういう事だ。

イベントは24まで続く。

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